ピッツァのソースやトマトの煮こみ料理を本格的につくるなら、生食用のトマトより、うま味成分をたっぷり含んだ、真っ赤に熟した加工用のトマトを使うことをお勧めする。
ただ、残念ながら、前に書いたように、いまの日本では、八百屋さんやスーパーに行っても、ごく一部を除いて、生の加工用トマトはほとんど手に入らない。
ならば、缶詰のトマトを使えばいい。
缶詰のトマトは完熟した加工用トマトだから、うま味成分がたっぷり含まれている。
しかも値段も生のトマトより格段に安い。
わざわざ高い金を出して生のトマトを使うよりずっとおいしいし、かつ安くあがるというわけだ。
もう1つ、乾燥トマトというものがある。
これは文字どおり加工用トマトを乾燥させたもので、いってみれば干しシイタケのようなものだ。
缶詰、ビン詰めなどの保存技術のなかった時代に開発された、トマトの保存食だ。
この乾燥トマトには、生のトマト以上の大量のうま味成分が含まれている。
シイタケやアワビを天日で乾燥させると、うま味が増すことはよく知られているが、乾燥トマトもそれと同じで、天日乾燥によって、さまざまなうま味成分が増す。
乾燥トマトは、しいたけのうま味成分であるグアニル酸を100グラム中10ミリグラム、さらにグルタミン酸は600ミリグラム以上と、生のトマトの倍以上を含んでいる。
乾燥トマトはいってみれば昆布の野菜版のようなもので、イタリア料理のうま味だしには頼りになる味方である。
使い方は簡単で、こまかくきざみ、トウガラシ、ニンニクとともにオリーブオイルで炒めるだけで、簡単にパスタのソースができる。
またシチューなどの煮こみ料理の鍋に放りこんだり、カレーに入れてもいい。
乾燥トマトは最近になって、大きなスーパーなどで売られるようになってきたから、生の加工用トマトよりはずっと手に入りやすいはずだ。
ひとつお試しあれ。
Kの新入社員は、新人研修としてかならずトマトの摘みとりをやらされる。
私も入社した年の7月、炎天下、1日中トマト摘みをやらされた。
やってみればわかるが、これがかなりきびしい労働である。
しかも、かなりの熟練が必要だ。
畑にかがみこんで、赤く熟したトマトだけを選んでもぎとるのだが、これはたいへんな作業だ。
炎天下で汗がだくだくと出てくる。
喉はかわく。
もちろん腰はあっという間に痛くなる。
しかし、それよりたいへんなのは、ものの30分もしないうちに目がおかしくなって、熟したトマトが選べなくなってしまうことだ。
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