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| vol.87/2000年8月号
CONTENTS |
食の文化史「マカロニ」
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日本の呼び名は穴あきうどん
その苦闘(?)の様子を日本における歴史から見ていきましょう。
日本では当初、マカロニのことを「穴あきうどん」「管通麺」「管麺」「管状そうめん」などと呼び、スパゲッティのことを「西洋そうめん」「西洋うどん」「イタリアうどん」などと呼びました。即物的で説明的なのは、庶民の理解を考えた苦肉の命名だったからでした。
日本ではじめてマカロニ料理が紹介されたのは明治五年(一八七二)で、この年に出た『西洋料理指南』には絵入りのていねいな紹介があり、「図に示した竹管のようなものは器械でつくるものだが、我が国にはこの器械がないので、うどんの形につくって図の長さに切って代用する。牛脂少しばかりと鶏卵適宜、塩少しばかりを加えてつくるとよい」とあります。
竹の管のようなもの(!)というのがマカロニなのですが、管の形にする器械がないから、うどんを短く切って代用する。ただし、牛脂や卵を加えるにあたり、ふつうのうどんと少し違っています。さらに煮方の説明もあり、「これを似るにはチーズ適宜を細かく砕いて水適宜に溶かし、今つくったうどん三分の一と牛肉を煮ること西洋半時間」。
「適宜」が三カ所も出てきてちょっと心もとないですが、牛脂、卵を加えてつくり、チーズ、牛肉と煮るなど、大変洋風で濃厚な料理が想像されます。そして、トマトソースやオリーブ油など、イタリアで一般
的だった調理法が影を落としていないことが特徴です。小麦粉の研究者の岡田哲氏は、オランダ式料理だったのかもしれない、と書いています。
なお、「西洋半時間」というのは三十分のことです。ヨーロッパ式の時制がまだ十分浸透していなかったころの様子がわかります。
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